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ホーム > ヤマハで習う・学ぶ > 鳴るほど♪楽器解体全書 : シンセサイザーの構造と歴史


鳴るほど♪楽器解体全書
シンセサイザー第1回
シンセサイザーの構造と歴史
 
一人オーケストラもOK
一人オーケストラもOK

シンセサイザーとは縁がない、なんて思っていませんか。普段耳にする音楽でもテレビCMやゲームでも音づくりに使われていて、生活に密接に関わっているんですよ。今回はシンセサイザーの歴史を中心に電子楽器の技術開発者、萩野 潔(はぎの きよし)さんに話を聞いてみます。

このページに掲載されている情報は2005年6月現在のものです。
TOPICS
シンセサイザーとは 【音楽用のコンピュータ】
50年間で一気に進化 【大学生まれ、世界育ち】
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  シンセサイザーとは
 
萩野潔さん写真
萩野 潔さん
スキューバダイビング歴30年。海の中も音だらけとか。

♪シンセサイザーって何ですか?

「奏者が自分なりの音をつくれる電子楽器です。用意された音素材を合成して新しい音をつくることができます。最近はシンセサイザー自体が始めから何百ものボイス(音色/おんしょく)を持っているので、その中から好きなボイスを選んで演奏に使うことも多いですね。ピアノのボイス、ベースのボイス、フルートのボイスなど音の高さがはっきりしたもののほかに、雷の音や風の音など様々な音が一台のシンセサイザーで鳴らせます。音の高さも、鍵盤(けんばん)全体をオクターブでも半音でも自由に変えられるので、広い音域で自在に演奏できるんですよ」

♪一台でいろんな音や演奏が楽しめるんですね

  音づくりにも演奏にも活躍するシンセサイザーMOTIF ES7
音づくりにも演奏にも活躍するシンセサイザーMOTIF ES7
  「現在のシンセサイザーは見かけは楽器の形をしていますが、中身はコンピュータのようなものです。鍵盤はスイッチの役割をしていて、音の始まりと終わりのきっかけを与えています。どの音をいつからいつまでどんなふうに鳴らすか、ということを内部のシステムへ伝えているんです」

♪鍵盤はスイッチ! 鍵盤が鳴っているわけではないんですね

「はい、だから鍵盤の代わりにコントローラーとしてギター・シンセサイザーを接続して鳴らすこともできますし、管楽器感覚で扱えるウインドコントローラーも使えます。パソコンでもいいんですよ」
リアルタイム演奏例
リアルタイム演奏例
※圧縮率が高いため、実際の音質より劣化しています。
▲視聴するためには、最新のフラッシュプレーヤーが必要です。
 
ギター・シンセサイザーGD1をつなげての演奏も可能
ギター・シンセサイザーG1Dをつなげての演奏も可能
息の圧力とリードに加わる圧力を信号とするウインドコントローラーWX5
息の圧力とリードに加わる圧力を信号とするウインドコントローラーWX5
  「さて、音づくりの話に戻りましょう。シンセサイザーはリアルタイムで演奏することもできますが、予め1トラックずつ録音して音を重ねていき、音楽をつくる方法が一般的です。また、音そのものを録音するほかに、演奏情報を記録する方法もあります」
 
シンセサイザーの演奏例
シンセサイザーの演奏例
MOTIF ESのデモ曲
オーケストラ風
テクノ風
※圧縮率が高いため、実際の音質より劣化しています。
▲上記の音を聴くためには、最新のフラッシュプレーヤーが必要です。

♪トラックって何ですか?

「トラックはオーケストラで言う第1バイオリン、第2バイオリンのような楽器のパートのことで、通常、トラックごとに楽器を決めて演奏情報を指示します。すると、複数の楽器のボイスを一度に鳴らすことができ、オーケストラでもロックバンドでも、たった一人で曲を構築することができます。電子楽器ならではの演奏も楽しめますよ」

♪電子楽器ならでは?

「バイオリンやトランペットなど自然楽器の音になるべく近づけようという考え方がある一方、自然楽器では出せない音をつくろうという考え方もあるんです。また、演奏面でも正確にリズムを刻んだり、人が演奏できる以上の速さや難しさで音が鳴らせます。実際にフルートが吹けなくてもドラムが叩(たた)けなくても、プロ顔負けの演奏テクニックで音が出せるんです」

♪何でもできちゃいますね

  「現在のシンセサイザーでは、持っているボイスを加工する、音の設定を記憶する、録音・再生、編集、自動演奏など音楽に関することが一通りできます。単体でももちろん楽しめますが、パソコンや周辺機器とつなげると、さらに快適になります。便利な音楽制作ソフトも増えて、昔のシンセサイザーに比べてできることが広がりました」
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  50年間で一気に進化
 

♪昔のシンセサイザーについて教えてください

「今の形のシンセサイザーの元祖は、1952年にアメリカのコロンビア大学で生まれました。楽器というより研究用装置で、膨大な真空管アナログ回路により音を電子的に合成し、自動演奏や多重演奏ができる音楽制作機能も備えていたそうです。その後1964年に有名なムーグのシンセサイザーができてから、いろんな音楽に登場するようになりました。ビートルズの『アビーロード』というアルバムの中の『ビコーズ』という曲にも使われています。ギターや電気ピアノ以外の、自然楽器ではない音ですから、聴くとすぐわかると思いますよ。ロックミュージシャンのキース・エマーソンもステージで使って一躍注目を集めましたね」

♪今までにない新しい音だったんですね。どんなふうに使ったんでしょう?

「当時はある程度の音色はつくれても、一度に出せるのは一音だけ。メロディしか弾けなくて和音は出せなかったんです。だから、曲の中に効果音として登場する感じでした」

♪1つの音しか出せなかったなんて!

「楽器自体がとても大きく、日本の音楽業界の人は“タンス”と呼んでいたほどです(笑)。演奏者はジャックが出ている巨大な壁に囲まれて、片手で鍵盤を弾きながら、片手で線を抜いて別の場所に挿したりしていました」
 

♪大掛かりだったんですね

「その後、同時に複数の音が出せる画期的なポリフォニックタイプが登場します。ヤマハでも和音の出る最高の楽器をつくろうと考え、1974年に35台分のシンセサイザーを一台に内蔵したGX-1を発売しました。GX-1はスティーヴィー・ワンダーも『キー・オブ・ライフ』というアルバムの『ヴィレッジ・ゲットー・ランド』という曲で使うなどいろんなミュージシャンから好評でした。
当時は音色をしっかり覚えておいて一発で読み出せる機能を、見た目にはお弁当箱のような装置が果たしていて、コンサートの時など演奏者が替わるごとに持って来てはガチャッとはめていたんです。すると同じ楽器なのに音ががらりと変わり、お客さんは不思議がっていましたね」

♪なぜお弁当箱(笑)が必要だったんでしょう

「シンセサイザー本体にメモリがなく音色の情報を覚えられなかったし、今のメモリカードのような小型の記憶媒体もない時代でしたから」
ヤマハのアナログ・シンセサイザーの最高峰GX-1。1975年当時の定価は700万円
ヤマハのアナログ・シンセサイザーの最高峰GX-1。1975年当時の定価は700万円
  「やがて、アナログ・シンセサイザーに変わって、デジタル・シンセサイザーが出始めます。音の出始めや出終わり、音量のコントロールなどを数値で決めるんですが、決め方の仕組みはメーカーごとにバラバラでした。それをメーカー間で統一したのがMIDI(ミディ/Musical Instrument Digital Interface)です。これで音楽環境は格段に良くなりました」

♪MIDIにはどんな良さが?

「データのやりとりの仕組みを統一したので、世界のどのメーカーのシンセサイザーも手持ちのシンセサイザーに簡単に接続でき、鳴らせるようになりました。MIDIが登場する前はいろんな音を出すためにステージ上にたくさんシンセサイザーを並べていましたが、登場後は直接触れる必要のない音源を裏に回せるようになり、ステージ上の台数はぐんと減りました。シンセサイザーに限らず、MIDIに対応したいろんな音源をつなげて鳴らすこともできるんです」
 

♪音源って?

「音源とは音が出る機器の総称です。シンセサイザーのように鍵盤付きのもの、電子ドラムのような楽器の形をしているものもあれば、音の鳴らし方を記憶して再生するQYのようなシーケンサーや、MIDIで発音させる、鍵盤がないトーンジェネレータもあります」
  コンピュータにもつなげるトーンジェネレータMOTIF-RACK ES
コンピュータにもつなげるトーンジェネレータMOTIF-RACK ES
  「今ではパソコンが大活躍していてシンセサイザーの代わりに音源そのものとなったり、シーケンサー役のソフトウェアでMIDIデータや音声データの高度な編集ができます。さらに、それらをインターネット上にアップして他の人とやりとりすることも簡単になりました」

♪だれでも手軽に使えるようになったんですね

  一度に一音しか出なかったシンセサイザーが
今は機種によっては一度に128音も出せるとか。
価格もとても高かったのが
この50年で大変身を遂げてきたんですね。
次回は昔の音のつくり方について紹介します。
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