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鳴るほど♪楽器解体全書
シンセサイザー第3回
デジタル・シンセサイザーの音の原理
 
音源のいろいろ
音源のいろいろ

現在のデジタル・シンセサイザーではどんなふうに音をつくっているんでしょう。アナログ・シンセサイザーとは一体どこが違うんでしょうか。電子楽器の技術開発者、萩野 潔(はぎの きよし)さんに聞いてみますね。

このページに掲載されている情報は2005年6月現在のものです。
TOPICS
アナログとデジタルの違いは 【再現性と安定性】
FM音源方式の音づくり 【着メロでも活躍】
AWM音源方式の音づくり 【良い音を少ないデータで】
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  アナログとデジタルの違いは
 
萩野潔さん写真
萩野 潔さん
バンド系の楽器を演奏しつつ、大学時代にはシンセに傾倒

♪アナログ・シンセサイザーからデジタル・シンセサイザーになって何が変わったんですか?

「音のつくり方がフルデジタルになったので、音の安定性が増し、再現性も良くなりました。実はアナログ・シンセサイザーには、温度によってピッチが変わる欠点があったんです。昔の電気回路は電気を多く使ったので、それだけ熱が出ました。すると自分の熱によって発振周波数がずれてしまい、ピッチが変わってしまったんです。だから正確さが必要な場合は、機器が十分に温まってから、チューニング・メーターで音を合わせ直していたんですよ」

♪音の再現性というのは?

「同じ設定をしたら必ず同じ音が出るかということです。アナログ・シンセサイザーでは温度変化などによって昨日と今日で同じ音が出ない可能性がありました。でもデジタル・シンセサイザーは同じデータを与えれば必ず同じピッチが出せます」
 

♪思い描いた通りのピッチが安定して出せるんですね

「デジタルの音づくりには、メーカーごと、時代ごとに様々な方式が開発されてきました。数ある中からFM音源方式、AWM音源方式について特徴を説明しましょう」
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  FM音源方式の音づくり
  「まずはFM音源方式について。FMはFrequency Modulationの略で、周波数変調という意味です。1980年代初めにヤマハがFM音源を搭載した楽器(GS-1)を発表した当時、アナログ・シンセサイザーの波形は多くても4、5種類でしたが、FM音源方式では波形のバリエーションが限りなく増やせるようになりました」 1983年に発売されたFM音源のDX7
1983年に発売されたFM音源のDX7。音色のバリエーションが豊かでMIDIにも対応、16音を同時に出せた
 

♪どうやって波形を増やしたんですか?

「例えば、普通に“あー”と声を出しておいて喉(のど)を手で連続して叩(たた)くと声がゆらぎますよね。また、手で叩かなくても喉の奥の声帯を震わせれば、声にビブラートが掛かります。これは声の波に、それより低い周波数を与えて声を変化させているんです。同じことはアナログ・シンセサイザーでも行え、音にビブラートをかけるのに役立っていました。
FM音源方式では元の波形に対して、それより低い周波数ではなく、それと同じかもっと高い周波数の波を与え、元の波形を変えられるようにしたんです。すると、聞いている人はビブラートが速くなったという感じではなく、音色(おんしょく)が変わったように認識します。さらに加える波の振幅を大きくすると、より多くの高い倍音成分が出るようになり、もっと大きな音色の変化が得られるようになるんです。試しに音をお聴かせしましょう」
 
変調を次第に大きくした例
同じ周波数で変調した場合
波形図
波形図

倍音図
2倍の周波数で変調した場合
波形図
波形図

倍音図
 
※波形図は変調最大時のものです。
※圧縮率が高いため、実際の音質より劣化しています。
▲視聴するためには、最新のフラッシュプレーヤーが必要です。
 

♪加える波によって、波形が大変身するんですね

「アナログ・シンセサイザーでは“フィルター”で倍音成分を削って音色を調整していましたよね。FM音源方式では波形の倍音変化で、フィルターと同様の効果を実現しているんです。音色を整えた後、自然音に合わせて音量を鳴り始めから余韻まで変化させる点は変わりません」

♪アナログ・シンセサイザーと音色の違いはありますか?

「アナログ・シンセサイザーでは高い方の倍音が少なく、それを急激に変化させることもできませんでした。FM音源方式ではそれが可能になり、ダイナミックな音色変化や、きらびやかな音色が出せるようになりました。また、最近は携帯電話の着メロでも活躍していますよ」

♪着メロに!? なぜでしょう

「FM音源は、音源として必要なデータの数が少ないからです。携帯電話は充電式ですし、電子部品もわずかしか入らず、なるべく一音を組み立てるのに必要なデータは少ない方がいいので。他の音源、例えば今から説明するAWM音源では、良い音を出すためにたくさんのメモリが必要になるんですよ」
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  AWM音源方式の音づくり
 

♪AWM音源って何かの略ですか?

「AWMはAdvanced Wave Memoryの略で、進んだ波形記憶方式という意味です。波形記憶方式自体は新しい発明ではありませんでしたが、大規模な半導体のメモリが安くできるようになって初めて実用化されました」

♪どうやって音をつくるんでしょう

「アナログ・シンセサイザーでは、選んだ波形をフィルターや音量コントロールで変化させていくと話しましたよね。AWM音源方式でも、フィルターや音量コントロールについての考え方は同じです。ただ、最初の波形については、大きな違いがあります」

♪波形にどんな違いが?

「波形記憶方式は、波形を発振器でつくるのではなく、実際に録音した音を使います。サンプリングというんですが、ピアノなら“ポーン”と、バイオリンなら“ビー”と一音ずつ弾いてもらい、音をデジタル化して波形に用います。人の声や効果音なども波形にできるんですよ。これに時間変化するデジタルフィルーを組み合わせて音をつくる仕組みが、このAWMです」

♪実際の音の波形なら、音もそっくりになりそうです

「理想的には1つ1つの音を、音が消えるまでデータとして持っていれば一番自然な音が再現できます。でも、そうやって多くの楽器の音データを持とうとするとメモリがいくらあっても足りません。そこで、軽いデータで元の音を再現できるように工夫しています」

♪どんな工夫ですか?

 
ピアノの音の波形例 ピアノのループイメージ
ピアノの音の波形例 ピアノのループイメージ
サンプリングしたピアノの音
ループさせてつくった音
※圧縮率が高いため、実際の音質より劣化しています。
▲上記の音を聴くためには、最新のフラッシュプレーヤーが必要です。
  「ピアノを例にお話ししますね。音が3秒で完全に消えると仮定します。最初に鍵盤(けんばん)を押した時は音に特別な変化がありますが、0.5秒もすると、音が消えるまで波は似たような形のまま音量のみ減衰していきます。そこで、音が安定した部分を前後がうまくつながるように区間を決めて繰り返し再生するようにします。ループを再生するとも言うんですよ。その際、音量をだんだん絞っていくと、元の音の波形に近い状態を再現できます。上の例ではデータ量が約1/7で済みます。その後フィルター機能で音をだんだん暗くするなど調整していくと本物のピアノの音に近づきます」

♪なるほど、特徴を活かしつつ単純化するんですね。
 他の音の例も教えてください

「トランペットなどブラスの音は、もっとループが単純です。最初に“パーッ”と鳴った後、音量が一定な時間が長いので、その部分をループとして再生します。鳴り終わりの、マウスピースから息を吹くのを止めた後に残る余韻は、音量を少し残してから一気に絞ります」
 
トランペットの音の波形例 トランペットのループイメージ
トランペットの音の波形例 トランペットのループイメージ
サンプリングしたトランペットの音
ループさせてつくった音
※圧縮率が高いため、実際の音質より劣化しています。
▲上記の音を聴くためには、最新のフラッシュプレーヤーが必要です。
 

♪そうやって軽いデータで良い音をつくるんですね!

「FM音源やAWM音源のほかにも、ヤマハではVA音源という、管楽器の音色が得意な音源も世に出しています。サックスの息さばきやタンギングといった奏法がリアルに表現できるんですよ。
シンセサイザーは外観や操作性も大事ですが、どんな音源を備えているかにメーカーの考え方や個性が強く出ています。機会があったら、あれこれいじって音を聴き比べてみてください」
  音源の話、実はそんなにわかっていなくても
シンセサイザーのつまみをいじれば
音色は簡単に変えられるのでご心配なく。
いろんな機能が備わっているだけに
全部使いこなしたらどんな音でもつくれそうですね。
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