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鳴るほど♪楽器解体全書
シンセサイザー第4回
シンセサイザーの雑学
 
シンセサイザー番外編
シンセサイザー番外編

シンセサイザーの最終回は、いつもの雑学特集です。常に人々の注目を集めながら多彩に進化してきた華やかな歴史や、音にまつわる基礎知識を紹介します。

このページに掲載されている情報は2005年6月現在のものです。
TOPICS
シンセサイザーの華やかな過去 【映画にも出演】
今どきシンセ事情 【何ができるか】
周波数のお話 【聞こえる? 聞こえない?】
デジタルのいろは 【アナログとの違いは】
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  シンセサイザーの華やかな過去
 

■テルミンは電子楽器の先駆け

直接さわらず、空中で手を近づけたり離したりするだけで、何とも言えない音が奏でられるテルミン。アンテナの一種である角から出ている発振周波数を変えて演奏する世界初の電子楽器で、シンセサイザーの走りと言えます。1920年にロシアの科学者テルミン博士が考え出し、ロックや映画音楽などで使われてきました。1993年にはドキュメンタリー映画『テルミン』が製作されているので、興味があればぜひ。テルミン博士も登場しますよ。

■テープで演奏したメロトロン

1970年代にヨーロッパを中心にステージやレコーディングで引っ張りだこだった鍵盤楽器(けんばんがっき)に、メロトロンがあります。予めストリングス(弦楽器)やフルート(木管楽器)、コーラスなどの音を半音ごとに数秒間ずつ録音し、磁気テープにしておきます。それらをメロトロンにセットすると、ドの鍵盤を押した時にドの音のテープが回って音が再生されます。スイッチの切り替えで、ストリングスやフルートなどのリアルな音が鳴り、オーケストラの代用としても人気でした。音源がアナログの、波形記憶方式音源と言えるでしょう。

■『未知との遭遇』に出演

1977年に製作されたスティーブン・スピルバーグ監督の映画『未知との遭遇』。この中の研究所シーンにヤマハのシンセサイザーの原点であるSY-1が登場しています。一度に鳴らせるのは単音のみのモノフォニック・シンセサイザーでしたが、トランペットやクラリネットなどオーケストラ楽器系を中心に14×2ボイス(音色/おんしょく)を備え、音のコントロール性にも優れていて、当時としては画期的な電子楽器だったんですよ。
  1974年発表のアナログ・シンセサイザーSY-1
今も愛用者のいる1974年発表のアナログ・シンセサイザーSY-1
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  今どきシンセ事情
 

■カラオケ大好きな人へ

カラオケのバックに流れる音楽も、シンセサイザーをはじめとするデジタル音源でつくられているものが大半です。しっかりつくり込まれた音だと、本物の楽器と区別がつかないほどのレベルですよね。何人ものプレイヤーを集めてレコーディングするよりも、シンセサイザーやパソコンなどを使ってつくった方が、コストも時間も得なことが多いようです。また、音楽データはMIDIデータでつくられていてデータが軽いので、通信回線で楽に送受信が行われています。通信カラオケが普及した陰にはMIDIの活躍があったんですよ。

■同じMIDIデータでも音は変わる

AさんのシンセサイザーとBさんのシンセサイザーでは、同じMIDIデータを再生しても音が違って聴こえます。まるで同じCDをステレオで聴くのとパソコンで聴くのでは印象が変わるように。
MIDIのデータには音が入っているわけではなく、極端に言うとスイッチの操作情報しか入っていません。「今の音はファの音で、長さは1秒、大きさは128段階の23番目で、ボイスは74番のフルートで・・・」のような情報なんです。その情報を受け取ったシンセサイザーなりトーンジェネレータがどんなフルートの音を持っているかによって、聴こえる音は変わります。また、各ボイスの音量バランスもメーカーや製品ごとに違い、曲の印象を左右します。
 
 

■音をつくる人

シンセサイザーで思い通りの音をつくるには、音源や楽器、コンピュータ、そのシンセサイザー自体の特徴についても深く理解している必要があります。デジタル・シンセサイザーは、アナログ・シンセサイザーとは段違いに設定内容も増えているため、現在では職業として音をつくるマニュピュレータという専門家がいて、音楽や映画、ゲームなどの音づくりの分野で活躍しています。
 

■回したり擦(こす)ったり

  今どきのシンセサイザーには、音に表情をつけて人間っぽい演奏ができる機能がいろいろあります。右の写真にある2つのホイールやリボンコントローラーもその例です。
左側のホイールはピッチベンドホイールと呼ばれ、全体の音程(音の高さ)を半音でも全音でも、微妙に上げ下げすることができます。管楽器を吹いた時の音程のゆらぎを再現できるわけです。右側のホイールはモジュレーションホイールと呼ばれ、ビブラートの深さを調整できます。シンセサイザーMOTIF6で弾いた、アルトサックスの音をぜひ聴いてみてください。
また、横長のリボンコントローラーは、指でポンポン叩(たた)くとエレキギターのライトハンド奏法のような効果が出せ、ギターソロも巧みに表現できるんですよ!
表現の幅が広がる2つのホイール(上)とリボンコントローラー(下)
表現の幅が広がる2つのホイール(上)とリボンコントローラー(下)
 
※圧縮率が高いため、実際の音質より劣化しています。
▲視聴するためには、最新のフラッシュプレーヤーが必要です。
 

■こんな効果音も得意

風の音、ヘリコプターの音など自然楽器ではなかなか出せない音も、シンセサイザーなら出せます。アナログ・シンセサイザーでつくった音とデジタル音源での音を聴き比べてみてください。デジタル音源では通常、本物の音を録音して、その波形を利用して音をつくっています。一方、アナログ・シンセサイザーの音は第2回で紹介した通り、単純な波形を素に加工してつくったもの。どちらがお好みですか? デジタルでつくった雷の音、花火の音も聴いてみてね。
 
効果音
風の音(アナログ) 風の音(デジタル)
ヘリコプターの音
(アナログ)
ヘリコプターの音
(デジタル)
雷の音(デジタル) 花火の音(デジタル)
※圧縮率が高いため、実際の音質より劣化しています。
▲上記の音を聴くためには、最新のフラッシュプレーヤーが必要です。
 

■バーチャルに楽器の配置も決める

オーケストラの曲をシンセサイザーでつくる場合、多くのパート別にボイスを設定できるほかに、各パートの配置も設定できます。例えば弦楽器は左から右に第1バイオリン、第2バイオリン、ビオラ、チェロといった具合に。そうすると音に自然な広がり感が生まれます。また、木管楽器や金管楽器など舞台の奥にいる楽器ほど残響を多く設定すると、距離感の違いがある程度再現でき、音に奥行き感が生まれるんです。
もし各パートの配置を設定しないと、1ヵ所に奏者が固まって弾いていることになり、楽器の音が混ざり合って美しく聴こえません。ヨハン・シュトラウス2世が作曲した『春の声』のワンフレーズ(XG曲をMU2000で再生したものを音声ファイル化したものです)で聴き比べてみましょう。
 
パートの配置イメージ パートの配置イメージ
全パートが舞台の中央にいる状態
各パートが適切な位置にいる状態
※圧縮率が高いため、実際の音質より劣化しています。
▲上記の音を聴くためには、最新のフラッシュプレーヤーが必要です。
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  周波数のお話
 

■人が聞こえる音は

音は空気の振動であり、水面に広がる波紋のように空気中を四方八方に広がっていきます。1秒間の空気の振動数はヘルツ(Hz)という単位で示し、数字が大きいほど振動数が多くて音は高く、数字が小さいほど振動数は少なくて音は低くなります。
さて、人が聞こえる周波数はどのくらいでしょう。年齢や性別によって多少異なりますが、約20ヘルツから2万ヘルツと言われています。人に聞こえない、20ヘルツより低い音を超低周波、2万ヘルツより高い音を超音波と呼びます。成人では4000ヘルツ前後が耳の感度が鋭くなり、小さい音でも聞こえやすいとか。でも年齢を重ねるうちに高い周波数は聞こえにくくなります。ちなみに、犬は65ヘルツから5万ヘルツ、猫は60ヘルツから10万ヘルツの音が聞こえているそうです。人よりずいぶん耳が良いですね。

■鈴虫の声が電話で聞こえないのは

鈴虫の周波数は3400ヘルツ以上の高い音が主な成分です。でも、電話はすべての周波数をカバーすると伝達する情報が多くなりすぎるので、300ヘルツから3400ヘルツほどの範囲の周波数だけを伝えています。そのため、鈴虫がリンリン鳴いていても、電話の向こうの人にはほとんど聞こえないんです。自動車の排気音などの中の低い成分も相手には聞こえません。いつも会っている人の声も、電話では違って聴こえますが、これも電話で伝わる周波数の範囲が限られていることが一因です。
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  デジタルのいろは
 

■デジタルってなあに?

デジタル・シンセサイザー、デジタル音源。デジタルという言葉が今回は何度も出てきましたが、さてデジタルってどういう意味でしょう。
元々、“指”“桁(けた)”を表すデジット(digit)というラテン語系の名詞があります。デジタル(digital)はその形容詞で、指折り数えることができる状態、限られた桁数で表示できる状態を意味します。人の数、つまり人口(じんこう)などはまさにデジタルの典型です。空気や水はそのままでは数えられないアナログ量です。でも、ボンベ1本分の空気、何ccの水、と特定すると数えられるようになり、デジタル化できます。また、1/3という分数は小数で表すと0.3333・・・という循環小数ですが、0.3333と桁数を限定すれば0.0001を単位としてデジタル表示化したことになります。デジタルってそんなに難しいことじゃないんですよ。

■レコードとCDの音の違い

空気を伝わって耳に届く音は、変化の仕方が連続的、つまりアナログです。その音の変化を、昔の円盤レコードでは溝のうねりに、カセットなどのテープ録音では磁力の強さに変換して、ほぼそのままの形でアナログ的に記録してあります。
  アナログ波形とデジタル波形のイメージ
  この音を数値化、つまりデジタル化して記録し、再生するのがCDです。デジタル化のためには、ある一定の時間の間隔(サンプリング・レート)で、音の振幅を記録します。振幅は2進法の桁数“ビット”という単位で表され、6ビットの時は2の6乗である64段階を記録できます。音楽CDの場合は16ビットなので65536段階で記録します。また、サンプリング・レートは音楽CDの場合、1秒間に44100回にもなり、細かく音を数値化しています。だから再生した時も、原音に近い音で聴こえるんですね。ビットの数、サンプリング・レートの数が大きいほどアナログ音に近づきます。
デジタルでつくられた音楽CDはノイズのないクリアな音がしますが、再生できるのは人が聞くことのできる周波数範囲のみです。一方、昔のアナログレコードは、溝を擦る音や埃(ほこり)・傷・静電気などによる雑音が多いんですが、普通では人には聞こえないはずの超音波も含んでいます。そういうこともあってか、全く同じ音楽の録音でもアナログレコードで聴く方が良い音がする、という人も多くいます。アナログレコードの音を現代によみがえらせたと言われるDVD-AudioやSACDもありますから、聴き比べてみるといいですよ。
  バイオリンやドラム、トランペットなど
いろんな楽器を演奏できる人ほど
それぞれの奏法や音の特徴をよく知っているので
シンセサイザーを使ってリアルな演奏ができるんですって。
次回はおなじみのエレクトーンを取り上げます。それではまた!
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