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鳴るほど♪楽器解体全書
ピアノ第5回
ピアノの雑学
理論を奏でる
理論を奏でる

誕生して300年。ピアノは王様や貴族の楽しむものから、大勢の人が楽しむものに様変わりしてきました。みなさんが目にする機会も、実際に触れる機会も多いのではないでしょうか。今回は知っておくとちょっとためになる雑学を特集します。

このページに掲載されている情報は2005年9月現在のものです。

TOPICS
昔のピアノは 【重さも奏法も違っていた】
ピアノは生きている 【変化するもの】
聴く楽しみ・弾く楽しみ 【音の表情が多彩】
グランドピアノのひみつ 【機能美を求めた結果】
知りたい! アップライトピアノ 【お持ちの方必読】
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  昔のピアノは
 

■映画『アマデウス』の時代

神童として知られ、35才で逝ったヴォルフガング・アマデーウス・モーツァルトの映画『アマデウス』では3種類の鍵盤楽器(けんばんがっき)が登場します。チェンバロ、ターフェルクラヴィア(スクエアーピアノ)、そしてピアノで、18世紀の楽器の歴史を垣間見ることができます。映画の中で、屋外コンサートのためにモーツァルトの自宅から5~6人でピアノを担いで走って運ぶシーンがあるんですが、現在の300キロや400キロもあるピアノでは、こうはいきません。当時はフレームに重い鉄ではなく木が使われていたので軽かったんですよ。

■鍵盤を押し続けられなかった

1777年、有名なピアノ製作者シュタインの店を訪れた21才のモーツァルトは、父親に興奮気味に手紙を送っています。
「シュタインのピアノにはエスケープの動作が備わっていて、鍵盤を押すとハンマーは弦を打った瞬間に落ちてきます。それは手で鍵盤を押さえたままであっても、関係ありません。手を鍵盤から離すと、今聞こえていた音が一瞬で消えてしまいます。このピアノは驚くべき性能で、とっても好きになりました。・・・」
エスケープは、打弦した後のハンマーが弦振動を妨げないようにすぐ元に戻り、次の打弦に備えるべく一度力を逃すというもの。現在では当たり前の機構ですが、初期のピアノにはありません。鍵盤を押したままだとハンマーが弦に接触したままとなり、音が消えてしまうため、当時のピアニストは常にすばやく鍵盤から手を離し、弦をハンマーから解放していました。きっと、いつも弾むようなタッチで弾いていたんでしょうね。
 

■象牙(ぞうげ)&黒檀(こくたん)の鍵盤

かつてピアノの白鍵(はっけん)には象牙がよく用いられました。現在でも高級なピアノに使われますが、なぜでしょう。密度が高く切削加工がしやすいこと、そして肌触りがよく、汗を適度に吸収してくれる吸湿性がその理由のようです。黒鍵(こっけん)には、これまた密度が高い黒檀が好まれますが、こちらもさらっとした手触りで、弾いていて心地いいんですよ。
象牙と黒檀を使った鍵盤(コンサートグランドピアノ)
象牙と黒檀を使った鍵盤(コンサートグランドピアノ)
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  ピアノは生きている
 

■ピアノの寿命はどれくらい?

バイオリンの場合200年、300年前の楽器が今も弾かれますが、ピアノではあまり聞きません。なぜなら200年前のピアノはまだ発展途上なんです。それにバイオリンと比べてピアノは弦の張力が高く、響板に大きな圧力がかかっています。響板は、上側に少し膨らむように貼られているのですが、経年変化により、その膨らみがだんだんなくなり音の張りがなくなってきます。メカニックが狂ってくることも。年月を重ねると木材が枯れて良い響きになる利点がある反面、いろいろデメリットもあるんです。
ただ、100年前のピアノを復元することはできます。楽器の状態によっては、アクションを調整するだけで良かったり、 弦やハンマーを交換することもありますが、音は鮮やかによみがえります。手を入れれば、ピアノはかなりの長寿といえそうです。

■なぜ調律は必要か

平均的なピアノの弦は、1本約80キロの力で引っ張られています。金属の性質としてずっと掛かっている力は緩和されるので、全く弾かないでおいても張力は弱まり、だんだんピッチ(音の高さ)が下がっていきます。それにピアノの材料の多くは木材。中に含まれる水分の量が周囲の温度や湿度によって変化し、体積が収縮膨潤するうちに調律が狂っちゃうんですって。だから年に一度、専門の技術者に調律してもらうのがベストです。
 

■ 弾き込むと音は変わる?

ハンマーが弦に当たって音が出る仕組みのピアノ。弾き込んでいくとフェルトの部分に弦が食い込んで硬くなり、音が明るくなってきます。さらに弾き込むと、金属的な鋭い、耳につく成分が増えてくるので、数年に一度は整音という作業が必要になります。フェルトに針をさして柔らかくしたり、表面を削ったりしてハンマーの弾性を微調整するんです。すると音色がよみがえり、印象ががらりと変わるんですよ。一般に、調律というと弦のピッチを合わせるだけですが、整音も頼めば、きっちり音色を整えてくれます。
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  聴く楽しみ・弾く楽しみ
 

■鼻で弾く人も?!

主にジャズのピアニストには、手の指で弾かないで、げんこつや肘(ひじ)、足で弾く人もいます。両手で弾きながら3本目の手として鼻を使う人もいるんです。鼻が高くないと無理ですね。それに、弦を直接手で弾く人もいたりして、ピアノの演奏法はアイデア次第でいろいろ。ただ、ユニークな弾き方をすると調律がずれがちなんですって。

■基本的な奏法

ピアノの基本的な奏法をいくつかご紹介しましょう。レガートは音と音とを滑らかにつなげて弾くこと。スタッカートは短く弾くことで音符に「・」の記号が付いている場合です。トリルは装飾音の一種で、ドとレ、ラとシなどの音をすばやく交互に演奏する奏法。グリッサンドは鍵盤の上を滑るように速く奏でることです。映像付きで音を聴いてみてくださいね。
 
▲視聴するためには、最新のフラッシュプレーヤーが必要です。
 

■ ペダルで表現が豊かに

グランドピアノには、通常3本のペダルが付いています。右側のダンパーペダルは、踏むと鍵盤から指を離しても弦の振動を止めるダンパーが戻らず、弦が長く振動を続けます。また、左側のシフトペダルは、ハンマーの打弦の位置をずらし、3本弦のうち2本しか当たらないようにします。3本目の弦は直接ハンマーで打たれませんが、2本の弦が振動して駒(こま)を振動させるので駒から振動が伝わって共鳴し、音色が変化します。ペダルを踏まない場合と踏んだ場合を聴き比べてみましょう。
真ん中のソステヌートペダルは、直前に押した鍵盤のダンパーだけが弦から離れて、その音だけに余韻が残る仕組み。低音域は持続させて高音域は自由に弾きたい時などに活躍します。
 
▲視聴するためには、最新のフラッシュプレーヤーが必要です。
 

■想像してみよう

作曲家の意図をあれこれ考えるのも楽しいですよ。楽譜に書いてあることも書いてない裏も読んでみては? この曲は恋人ができたばかりでウキウキしながら彼女に捧(ささ)げたとか、厳しい圧政の中でみんなの気持ちを盛り上げるために書いたとか、時代背景や作曲家について調べて想像してみると、演奏も豊かになりそう。好きな曲をみつけたら、芋づる式に同じ作曲家や同じピアニストの曲を聴いてみるのもいいですね。
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  グランドピアノのひみつ
 

■屋根は美しいだけじゃない

独特の曲線を描いて美しい屋根は、実は音を反射する機能も果たしています。斜めに開けると屋根が音を反射して、奏者から見て右方向に音を導きます。演奏会場であれば観客席が右になるように置くので、ピアニストはいつも右の横顔だけ見られることになりますね。また、屋根の角度は3段階ほど調整できるので、バイオリンと合わせる時は半分だけ開けるというように音量の調節にも役立ちます。もちろん、屋根を閉めて弾けば同じ弾き方でも音量は小さくなりますよ。
グランドピアノは外形の曲線が独特、写真はチッペンデール様式のC2L
グランドピアノは外形の曲線が独特、写真はチッペンデール様式のC2L
 

■なぜ鳥の羽の形なのか

グランドピアノは鳥の羽みたいな形をしています。これは、ピアノの音階が弦の固有振動によって生み出されることと関係があります。
  弦の固有振動数とキーナンバーの関係 弦の固有振動数(弦が1秒間に何回振動するかを表す数)とキーナンバー(黒鍵・白鍵合わせて左から何番目の鍵盤かを表す数)の関係は左のような曲線になります。49keyはほぼ真ん中にある“ラ”の鍵盤で固有振動数は440ヘルツ。キーナンバーが大きくなるに連れて、固有振動数はぐーんと上がっていきます。
  弦長とキーナンバーの関係 一方、力学の法則により、弦の固有振動数は弦長に反比例するということがわかるので、結局、弦長とキーナンバーの関係は左のグラフのように表せます。鳥の羽の形にちょっと似ていますよね。
でも、実際のピアノでは低音部はもっと短いはず。それは弦の固有振動数には弦長以外に、単位長さ当たりの重さも関係しているため。低音部に重い巻き線弦を使うことで音を低くし、弦が短くて済むように設計してあるからなんです。
  もしも、ピアノの響板の形を長方形のような単純な形にすると、響板自身が明確な音程を持ってしまい、低音から高音までバランスの良い音量と音色を得づらくなります。また、高い音を出すには響板の面積は狭く絞り込んだ方が振動しやすくなるということもあります。スピーカーでも低音は大きいタイプ、高音は小さなタイプと使い分けるのと似ています。ちなみにアップライトピアノの響板も、長方形に見えて実は振動部分を斜めに限定しているんですよ。
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  知りたい! アップライトピアノ
 

■内側はどうなってる?

アップライトピアノ
アップライトピアノの外観と、内部の前側・後ろ側
  アップライトピアノが生まれたのは19世紀初めのこと。グランドピアノをコンパクトにして設置しやすくし、フランス革命後のヨーロッパで一般家庭にピアノが広まる原動力となりました。グランドピアノが弦を横に張り、下からハンマーで打っているのに対して、アップライトピアノは弦を縦に張ることで奥行きを狭めてあります。
 

■ 音をもっと響かせるには

家にアップライトピアノがある方は、ぜひ上の屋根前をパタンと開けて弾いてみましょう。音が抜けて良く聴こえますよ。さらに、楽譜を置く必要のない場合は、座った時に正面にある上前板を外してみましょう。ストッパーをずらして上に持ち上げてください。重たいので慎重に。こうすると音が豊かに響くようになり、弾きながらハンマーが動く様子も見えますよ。
屋根前を開け、上前板を外した状態のアップライトピアノ
屋根前を開け、上前板を外した状態のアップライトピアノ
  ピアノの練習でよく作品が登場するJ.S.バッハ(1685~1750)は
実はクラヴィチェンバロやクラヴィコードを愛用していたとか。
登場したばかりのピアノは演奏上いろいろ問題があったようです。
今や世界中で愛されているピアノは
たくさんの人の知恵や技術、情熱で進化してきたんですね。
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ヤマハピアノ作りの中心となる掛川。その掛川のヤマハピアノ工場で働く技術者が、ピアノ作りにかける思いや匠の技等を語っている模様を、動画インタビューで紹介しています。
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