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鳴るほど♪楽器解体全書
パイプオルガン第1回
パイプオルガンの構造
建物の一部?!
建物の一部?!

大きなコンサートホールに行くと、ステージの奥に金属パイプがずらりと並んでいることがあります。近くに鍵盤(けんばん)が並んだ演奏台も見つかることでしょう。それがパイプオルガンです。フランスで建造の修業を積み、演奏経験もある都留裕幸(つる ひろゆき)さんに、どんな楽器なのか教えてもらいましょう。

このページに掲載されている情報は2005年10月現在のものです。

TOPICS
1本で1つの音 【裏側はパイプの林】
音を出す仕組み 【パイプを選ぶ】
美しいフレーズを鑑賞 【音を混ぜ合わせる】
大小いろいろ 【携帯用から大型まで】
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  1本で1つの音
 
内部に林立するパイプ
内部に林立するパイプ

♪パイプオルガンって大きいですね

「コンサートホールにあるのは規模が大きいですよね。金属のパイプが何本も立っていますが、見えているのはほんの一部で、実際は舞台裏に何千本も立っていて林みたいなんですよ」

♪何千本も!

「パイプは1本で1つの音しか出せないんです。このパイプはフルートみたいな音色(おんしょく)のド専用、というように。だから、ある音色を低い音から高い音まで56鍵分出したいなら、56本のパイプが必要です。さらにトランペット系の音色、フルート系の音色、と音色を3つにすると56×3で168本要ります。つまり音色を増やすほど本数は増え、楽器が巨大になるんです」
都留裕幸さん写真
都留 裕幸さん
材料学や物理、音楽、外国語など幅広い知識を駆使して活躍
 

♪パイプと音の関係は?

「音階は、パイプの長さを階段状に変えてつくります。リコーダーのように指で孔(あな)を押さえて気柱の長さを変えることができませんからね。音色についてはパイプの素材や形を工夫して、いろんな楽器に近い音を出せるようにしています。1つの鍵盤を弾いて、同時にトランペット系とフルート系の音色を出すこともできるんですよ。音色の1つ1つをパイプオルガンではストップと呼びます。例えば、音色が3つあるオルガンを3ストップのオルガンと言います」

♪どんな仕組みなんでしょう

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  音を出す仕組み
  音を出す仕組み
  「パイプオルガンは風をパイプに送り、空気を振動させて音を出します。風箱(かざばこ)という箱の上にパイプをずらりと立てて、鳴らしたいパイプに下から風を通します」

♪あの、風が通るだけで鳴るんですか?

「はい。まさにリコーダーを吹くのと同じ原理で、圧力をかけた空気が通ると音が鳴ります。どのパイプを鳴らすことにするかを選ぶのが、ストップレバーと鍵盤です。ストップレバーは音色を切り替える装置のこと。そして鍵盤はドレミのどの音にするかというスイッチ役で、風箱に対して縦の列が鍵盤、横の列がストップというマトリクス(方眼)の関係になっています」
  ストップと鍵盤のイメージ
  「縦と横の交点に全部パイプがあるとします。まず、鳴らしたい音色のグループを選びます。あるストップレバーを引くと、それに対応するスライダーという穴の開いた板が動き、下にある穴と一致して希望の音色のパイプ群に風を通す準備ができます。その状態でドの鍵盤を押すと、ドの風路へ空気が入り、選んだ音色のパイプを通って音が鳴ります。つまり、縦横両方で選んだパイプに風が通るんです」

♪なるほど、それで音が鳴るんですね

「例えば、トランペットとフルートのストップレバーを引くと、1つの鍵盤を押すだけで、2つの音色が同時に出せます。全ての音色を同時に鳴らすこともできますよ」
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  美しいフレーズを鑑賞
  「音色を混ぜて新しい音色もつくれます」

♪音色を混ぜる?

「フルートの音色1本でメロディを弾けば優しい音になりますが、オクターブ離れた2本を同時に鳴らせば、軽やかだけどしっかりとした音になります。まるでオーケストラのピッコロとフルートの関係と同じ。この2つは音の高さがちょうど1オクターブ離れているんですよ。
オルガンのストップの中には特殊な高さの音を出すものがあります。例えば基準の音に対して、“1オクターブ上の音、1オクターブと5度上の音、2オクターブ上の音、2オクターブと3度上の音”をコーラスする全5本の同じ音色のパイプで構成されたストップがあります。パイプの長さでいうと基準の音を1とした場合、順に“1/2、1/3、1/4、1/5”の長さのパイプ列を並べます。それで、“ド”の鍵盤1つを押すだけで“ド・ド・ソ・ド・ミ”と音程の違うパイプを同時に鳴らすんです」
  コーラスさせるパイプの長さのイメージ
 

♪鍵盤1つで5音が出る!

「音程の違うパイプが同時に鳴ると和音になると思われるでしょうが、実は1つの音に溶け合うんですよ。音色が成長し、強く華やかになります。倍音の組み合せ方には名前が付いていて、その代表的なものがコルネ(1+1/2+1/3+1/4+1/5)です。実際の楽器で試してみましょう。弾いてくださるのはオルガニストの内山 美穂さん(うちやま みほ)さんです」

♪宜しくお願いします

「最初はパイプ1本ずつ、5つの音をお聴かせします。その後、5本全部を一度に鳴らしてみます。ちなみに、このような組み合わせをフランスではコルネ、と呼んで、好んで使われます」
 
各ストップレバーの名称は皮に書かれている
各ストップレバーの名称は皮に書かれている

♪ストップレバーにそれぞれ名前が付いていますが・・・

Bourdon 8'とかFlute a Chem 4などですね。数字はピッチ(音の高さ)を表していて、前の部分は音色名です。このストップレバーを手前に引いてONにしてから、鍵盤を弾くんですよ。同じ位置で弾いても、ストップレバーによって音色や音の高さが変わります。近くでよく見ていてください」
 
※圧縮率が高いため、実際の音質より劣化しています。
▲視聴するためには、最新のフラッシュプレーヤーが必要です。
 

♪全部一度に鳴ったら、きれいに溶け合いました!

「倍音という言葉を聞いたことがありますか。倍音の数や強さがそれぞれの楽器の音色を特徴づけています。パイプオルガンの場合はその倍音に当たる音をそれぞれ独立したパイプで出すことができるので、その組合せによって音色を作り出すことができます。だから独特の音色になるんです。
今は演奏台の近くで聴きましたが、今度は客席で鑑賞しましょう。残響が加わってふわーっとした音に感じますよ。客席で聴くとどんな音になるか想像しながら弾くのが、パイプオルガンの難しさでもあるんです。では内山さん、お願いします」
 
演奏写真
J.S.バッハ
『トッカータとフーガ ニ短調』

レオン・ボエルマン
『ゴシック組曲「聖母マリアへの祈り」』
※圧縮率が高いため、実際の音質より劣化しています。
▲上記の音を聴くためには、最新のフラッシュプレーヤーが必要です。
 

♪音に包まれる感覚です!

「最初の曲はプリンシパル系と呼ばれる音、次の曲はストリングス系と呼ばれる音をそれぞれ組み合わせて演奏されています。ちなみに5本をそれぞれお聴かせしたコルネはフルート系の音で、この3つにリード管を加えた4つのグループが、パイプオルガンの基本的な音色の分類になります」
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  大小いろいろ
  「静岡音楽館AOIにあるパイプオルガンは手鍵盤が3段あり、足鍵盤も2オクターブ半あって、パイプ数が2868本というホール用の楽器です。パイプオルガンにはさらにこの何倍ものパイプを持つ巨大なものもあれば、もっと小さな携帯用もあります。人が持って演奏できるポルタティフの場合、左手でふいごを使って風を送り、右手で鍵盤を弾いて演奏するんですよ。大きさは違っても、どれもパイプに風を送って音を出すパイプオルガンです」

♪携帯用もあるなんて!

  「こちらは据え付け用の小型パイプオルガンPO-103です。手鍵盤が1段56鍵、3音色を奏でられるパイプは木管と金管を合わせて168本あります」

♪見えない内部にパイプがたくさん立ってるんでしょうね

PO-103
PO-103
 
※各名称にカーソルをのせてみてください
▲【パイプオルガンの各部の名称】を表示するためには、最新のフラッシュプレーヤーが必要です。
  パイプオルガンの音域の例
  パイプオルガンは風でパイプを鳴らすんですね。
音色を増やすとそれだけ風の消費量が多くなり、
一度にたくさんの風が要る、という話も納得しました。
次回は風を送る構造についてお伝えします。
どんな方法か想像してみてくださいね。では!
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  ものしりエピソード
    静岡音楽館AOI
ヤマハ製品ページ/パイプオルガン ~PIPEORGAN~
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