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鳴るほど♪楽器解体全書
ハーモニカ第1回
ハーモニカの構造と種類
吹いたり吸ったり
吹いたり吸ったり

ポケットに入れて持ち歩けるハーモニカは、まるでおもちゃのようでいて、聴く人の心をゆさぶる素晴らしい楽器です。以前は小学校で習ったものですが、今では吹けない人も多いはず。設計を担当している山下茂夫(やましたしげお)さんに、どんな構造か聞いてみましょう。

このページに掲載されている情報は2005年11月現在のものです。

TOPICS
内側にはリードが! 【交互に出現】
見た目で音はわからない?! 【種類いろいろ】
音の配列を決めるには 【ルールはシンプル】
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  内側にはリードが!
 
山下茂夫さん写真
山下 茂夫さん
30年以上ハーモニカをはじめとするリード楽器の設計を担当

♪ハーモニカはどうやって演奏するんですか?

「手に持って口の正面で構え、左右に動かしながらマウスピースを吹いたり吸ったりしてリードを振るわせ、音を鳴らします」

♪リードはどこに?

「マウスピースから覗(のぞ)くと少しだけ見えますが、よくわかりませんよね。カバーを外してお見せしましょう。ドライバーでネジを外すと・・・」
 
※各名称にカーソルをのせてみてください
▲【ハーモニカの各名称】を表示するためには、最新のフラッシュプレーヤーが必要です。
 

♪あっ、黄色っぽい金属が現れました!

「板状の物がプレートです。その上に細長くいくつも付いているのがリードで、弁とも呼びます。隠れていますが、リードの下には長方形の窓が開いています。リードと窓は相似形(そうじけい)になっていて窓の方が一回り大きく、リードの左右と先端にはわずかに隙間(すきま)を取ってあります」
 

♪リードの下は完全に抜けているんですね

「さて、リード自体は全てアルファベットのTのような形をしていますが、リードが見えている所と見えていない所が交互にありますよね。見えていない所にも下側から、Tの向きが逆のリードが付いています」

♪なぜ交互に?

「ハーモニカには吹き吸いがあるからです。吹いても鳴らなくて吸うと鳴るのが上側の見えているリード、その逆に吹くと鳴るのが見えていない下側です。つまり、吹くリードと吸うリードが交互に並んでいるんですよ。基本的にはドミソが吹音(すいおん)、レファラシが吸音(きゅうおん)と決まっています」
リードの模式図
  単音ハーモニカの断面図
 

♪吹くだけの方が簡単そう・・・

「構造的には全部吹く音にもできます。ただ、そうすると隣のリードが鳴らないように間を開ける必要が生じて、左右の口の移動が増え、演奏が大変になります。それに吹くだけだとワンフレーズ演奏するだけで苦しくなってしまうんです。吹き吸いがあるからこそ、曲がスムーズに演奏できるんですよ」

♪なるほど、息継ぎも兼ねてる訳ですね

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  見た目で音はわからない?!
  「今、紹介したのは単音ハーモニカあるいはシングルハーモニカと呼んでいて、1つの音を出す時に1つのリードが鳴るタイプです。これに対して同じ音が2枚のリードで同時になるタイプを複音ハーモニカと呼びます。上下にリードがあるんです、音を聴き比べてみてください」
 
単音ハーモニカの音
▲上記の音を聴くためには、最新のフラッシュプレーヤーが必要です。
 
複音ハーモニカの音
▲上記の音を聴くためには、最新のフラッシュプレーヤーが必要です。
 

♪複音ハーモニカは音が響きます!

「音がわんわん響くトレモロになっていて、爽(さわ)やかですよね。2枚のリードはちょっとだけ周波数を変えてあります。周波数とは1秒間に繰り返される波の数のことで、ヘルツ(Hz)という単位で表します。左から5番目のラでは、基音側のリードの周波数は約440ヘルツ、つまり1秒間に約440回振動しています。そして波動側のリードは約2ヘルツ多い442ヘルツほどにしてあり、それで1秒間にわんわんと2回ほど音がうなるんです。トレモロ数が1秒間に約2回という状態です」

♪どの音でもトレモロ数は2回?

「いいえ。低音部から高音部にかけて次第にトレモロ数が多くなった方が聴いていて心地良いので、高音ほどトレモロ数を多くしています。この複音ハーモニカでいうと、最低音ドではトレモロ数は1秒間に約1.5回、最高音ミでは約6回にしてあり、その間にある低音のラが約2回、中音のラが約3回、高音のラが約4回、と増やしてあります」

♪そうやって美しい音色をつくるんですね

「はい。ただ、単音や複音のハーモニカには1つ欠点があって、音階の配列を見るとわかるように半音が出ません。だからハ長調だったらハ長調で1本、イ短調をやろうとしたらもう1本、イ短調がほしくなる、というように、演奏したい調子に合わせて楽器が何本も要るんです。それを解消しようと考えられたのが、半音の出るクロマチックハーモニカです。クロマチックは半音の意味で、ピアノの鍵盤(けんばん)と同じように半音階が出せますから、全ての調子がたった1本で演奏できます」
 
クロマチックハーモニカの音
▲上記の音を聴くためには、最新のフラッシュプレーヤーが必要です。
 

♪クロマチックの音の出し方は?

「音階の配列を見てください。クロマチックでは1つの穴に2枚のリードがあり、吹き吸いで2つの音が出せます。例えば左端の最低音でいえば、吹くとド、吸うとレが鳴らせます。さらに右端にあるスライドレバーを押すと上の層から下の層に切り替わり、吹くとド♯(シャープ)、吸うとレ♯が鳴らせます。つまり上で2つ、下で2つの音が出せ、大きな穴の単位でいうと4つの音が鳴らせるんです。たくさんリードが入るので音域も3オクターブ以上、と広く取れるんですよ」

♪レバーで半音変わるから、小さいのに大活躍ですね

「上のカバーを外すと、リードと黒い物が交互に並んだプレートがあります。黒い物の下には窓があり、リードが隠れていますから、マウスピースの穴1つに対して2枚1組のリードがある訳です。さらに、下のカバーを外しても同様のプレートがあるので、マウスピースの1つの穴に対してリードは4枚となります」
スライドレバーを押さない状態
スライドレバーを押さない状態
スライドレバーを押して半音上がった状態
スライドレバーを押して半音上がった状態
 
上下のカバーを外した状態
上下のカバーを外した状態

♪なるほど、4枚リードだから4つの音!
 ところで黒い物は何でしょう

「バルブです。以前は山羊皮(やぎがわ)を用いましたが、今は合成皮革かゴムスポンジを使っています。吹く時も吸う時もそうですが、鳴らしたくない方のリードが動かないように、空気が漏れないよう隙間をシールする役目をしています」
 

♪リードと窓との隙間を塞(ふさ)ぐ役!

「はい。息を吸うと上側のリードと共に、バルブもプレート側に吸い寄せられて隙間をシールでき、吹くと下側のリードと一緒にバルブもプレートから上へ飛び出して下側のリードが鳴ります。つまり鳴っているリードだけに空気が効果するように働くんです」

♪うまく考えられていますね

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  音の配列を決めるには
 

♪音がドレミファソラシドの順でないのもありますが・・・

「完全にドレミファソラシドのモデルもあるんですが、そうでないモデルも多いですね。音の配列の決め方は割と単純なんですよ。
通常はまず、ドミソは吹く音、レファラシは吸う音というのを前提にします。それでドミソ、ドミソ、ドミソ、ドミソ、と書いてみます」
  音階の配列図1
  「次に、吸う音であるレファラシを間に加えます。まず中音に書き込むと、ドレミファソラドシになりますね。最後のドシだけひっくり返りましたが、ほぼ順番通りです」
  音階の配列図2
  「そしてここを基本に、左の低音側と右の高音側にレファラシを書いていきましょう」
  音階の配列図3
 

♪左の方と右の方がかなり入り乱れてきました

「ちぐはぐになってきましたよね。結果的にどうしてもこういう並びになるんです。でも、奏法からいうと吹き吸いが交互になっていた方が吹きやすいですし、慣れれば違和感を感じないんですよ。後は、モデルによってどこから音を始めるかで、一番左にある最低音がレやソに決まります」

♪吹くドミソと吸うレファラシを交互に、というルールで並べるんですね

「はい。とは言え、配列はモデルによってもメーカーによっても様々で、だからこそ音域もいろいろなんです。ここではヤマハのモデルを例に紹介しておきましょう」
  ハーモニカの音域
  吹いたり吸ったりして音を出すのは
内側にあるリードが交互に付いてるし、
呼吸しながら楽に演奏できるからだったんですね。
みなさんも覚えておきましょう、
ドミソは吹く、レファラシは吸う、ですよ!
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