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鳴るほど♪楽器解体全書
大正琴&ヴィオリラ第1回
大正琴の構造と歴史
日本生まれの洋楽器
日本生まれの洋楽器

白と黒のボタンがたくさんあり、弦が何本も張られている大正琴(たいしょうごと)。どこかで目にしたことはありますか? 「大正」と名前に付くだけに、大正元年(1912年)生まれの楽器なんですよ。どうやって演奏するのか、設計担当の生熊正広(いくま まさひろ)さんに教えてもらいましょう。

このページに掲載されている情報は2005年11月現在のものです。

TOPICS
6本の弦の性質は? 【どんな音が鳴るのか】
楽譜が読めなくてもOK 【数字は得意?】
名古屋生まれ 【ブームは過去に何回も】
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  6本の弦の性質は?
 

♪大正琴ってユニークな形ですね

「弦巻き(糸巻き)があり、少しギターに似てますよね。ボディの中は完全に空洞で、弦の振動から生まれた音を共鳴させる構造になっています。写真のモデルは電磁マイクを備えているので、アンプに接続して大きな音量で演奏することもできます」
生熊正広さん写真
生熊 正広さん
ギターの設計を経て大正琴の設計に着手、弾きやすさを追求
  大正琴の構造
 

♪演奏はどうやって?

「平らな台の上に置いて、両手を使って演奏します。白と黒の音階ボタンが並んでいますが、そのボタンを左手で押しながら、右手で弦をはじきます。ギターと同じようにピックを使って弾くことが多いですね」

♪ボタンを押すと、どうなるんでしょう

「ボタンは金属バーの先に付いていて、金属バーの下には弦が4本張られています。弦は左側にある弦巻きから、右側にある駒(こま)まで続いていて、ボタンを押すと金属バーが弦をフレット板に押し付けます。すると、指で4本の弦を一度に押さえたのと同じことになり、弦をはじくと鳴らしたい音が鳴らせます。4本とも同じ音が鳴るんですよ。開放弦の時、つまりボタンを何も押さない時はソの音です」
 
※各名称にカーソルをのせてみてください
▲【大正琴の各部の名称】を表示するためには、最新のフラッシュプレーヤーが必要です。
 
大正琴の弦
6本の弦のうち、手前の2本は共鳴弦

♪弦は6本ありますが…

「そうですね。ボタンで押さえて音の高さを変えられる4本の弦のほかに、2本の共鳴弦があります。それが第5・6弦で、音をふくよかにする効果があるんですよ。この2本は演奏時は全くはじかず共鳴させるだけの時と、はじいて低音を響かせる時があります。ボタン操作の影響を何も受けないので音程は変わらず、いつもソの音です」
 

♪んんっ、では6本全部ソの音ですか?

「はい、6本ともソの音に合わせてあるんです。でも音の高さは違っていて、上側の第1弦から第3弦まではソプラノのソ、次の第4・5弦は1オクターブ低いアルトのソ、一番下の第6弦はさらに1オクターブ低いソです。順に金属弦の細弦、細巻弦、太巻弦を使っているんですよ」

♪弦が細い上側が高音なんですね

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  楽譜が読めなくてもOK
 

♪音階ボタンに数字が書いてあります、どんな意味でしょう

「数字はドレミを表しています。白の1がド、2がレ、3がミで、7はシになり、1から7の数字が繰り返し並んでいます。よく見ると、数字に点があるのもありますよね。点は、高音側は数字の上に、低音側は数字の下に付いています。また、ピアノでいう黒鍵部分(こっけんぶぶん)には全て♯(シャープ)が添えてあります」
数字の書かれた音階ボタン
数字の書かれた音階ボタン
 

♪数字はどう役立つんですか?

「大正琴には数字譜という特別な楽譜があり、それを見ながら弾くのに便利なんです。五線譜が読めない人でも数字を追って弾けるので、簡単に演奏ができます。下の数字譜で"人"は人差し指、"親"は親指、"中"は中指、"薬"は薬指のことを指すんですよ」
 
数字譜の例「さくらさくら」
数字譜の例「さくらさくら」
 

♪これならすぐ弾けそうです! ちなみに、大正琴の音域は?

「1つの弦で2オクターブとちょっとの音域です。音階ボタンを押さずに弾く開放弦の時のソから、それより高いソ、さらに高いソの少し上のラ♯まで、となります。それが第1弦から第3弦と、第4弦とオクターブ違いで存在するので、音域は3オクターブ以上といえますね。実際にメロディとして弾けるのは2オクターブですが…」
  大正琴の音域
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  名古屋生まれ
 

♪大正琴はいつ生まれたんですか?

「1912年、大正元年に、名古屋市に住んでいた森田吾郎(もりたごろう/1874~1952)が発明したそうです。彼は明笛(みんてき)という笛の名手で、1897年ごろには明笛を手に海外へ演奏旅行に出かけています。アメリカやヨーロッパに渡って様々な西洋楽器と出会い、大いに刺激を受けたようで、帰国後、当時流行していた二弦琴(にげんきん)に、西洋音階のフレットと、タイプライターにヒントを得た音階ボタンを取り付けました。それが大正琴です」

♪西洋音階ってなんでしょう

「1オクターブが12音の配列から成る音階のことです。大正琴というと和楽器のようですが、弦の素材も日本古来の楽器が絹糸なのに対して金属弦でしたし、鍵盤も付いていますから日本で初めて生まれた洋楽器といえるでしょう。ヨーロッパにはハーディ・ガーディというリュート型かギター型の胴体に弦を擦(こす)る円盤と音程を変える鍵盤装置が付いた楽器がありますが、大正琴はそれにも似ています」

♪ともかく独特な楽器だったんですね

「西洋の音楽が演奏でき、ピアノやバイオリンよりも安価で親しみやすい楽器として、大正から昭和初期にかけて、そして戦後にも何度かブームとなり、女性を中心に愛好家が増えました。童謡や演歌、ポピュラーミュージックなど多彩なジャンルの音楽が楽しめます。弦の響きが澄んでいて、気持ちを込めてメロディが奏でられるんですよ」
  修理用に届いた大正琴の中をのぞいたら
なぜか白い粉がいっぱい入っていて
調べてみると、せんべいの粉だったとか。
友人と会話を楽しみながら弾くお茶飲み楽器、
その大らかさが大正琴らしさかも知れません。
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