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鳴るほど♪楽器解体全書
大正琴&ヴィオリラ第3回
大正琴&ヴィオリラの音の原理
音の高さと響き
音の高さと響き

大正琴もヴィオリラも、基本的には平置きして演奏する弦楽器です。今回は弦と音の高さについて、また共鳴するボディや台について実験も交えて考えていきましょう。質問に答えてくれるのは設計担当の生熊正広(いくま まさひろ)さんです。

このページに掲載されている情報は2005年11月現在のものです。

TOPICS
望む周波数にするには 【張力と線密度と弦長】
豊かに振動を伝える 【ボディや台も重要】
音の実験をしてみました 【アイデア演奏法も紹介】
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  望む周波数にするには
 
生熊正広さん写真
生熊 正広さん
音階ボタン一つにも、すべりにくく押しやすい工夫を施す

♪弦楽器の場合、音の高さは何で決まりますか?

「音の高さは、弦の長さや張力、線密度の3点で決まります。音の高さというのは周波数と言い替えられます。また、線密度は単位長さあたりの重さのことです。ちょっと難しいですが、これらの関係を表す数式を紹介しましょう。

(エフ)は周波数、(エル)は弦の長さ、(ティー)は弦の張力、(ロー)は弦の線密度を表しています。この式からわかるのは、周波数は弦長に反比例する、つまり弦が長くなると音が低くなること。それに、弦の張力を大きくすると周波数が大きくなる、つまり音が高くなることです」
 

♪うーん、具体的に言うと?

「弦の長さが1/2になると、周波数は2倍になり、音が1オクターブ上がります。大正琴やヴィオリラでは中央にある"5"という音階ボタンを押すと、振動する弦の長さがちょうど半分になるように設計してあって、開放弦の時のソの音より1オクターブ高いソの音が出るんですよ」

♪張力と音の高さについては?

「先ほどの数式を見てください。張力はルートの中に入っているので、音を1オクターブ上げる、つまり周波数を2倍にするには張力を4倍にする必要があります。でも実際には張りすぎると弦が切れてしまい、開放弦の時のソからシへ2音上げるくらいが精一杯です。逆に張力をゆるめれば音の高さは下がります。1オクターブでも下げられますよ」

♪ずいぶん音が変わるんですね

「はい、だから調律は大切です。弦をゆるめずに張り続けていたり、ある程度の時間弾き続けると、張力は弱まってくるので、演奏前に音が下がっていないか確かめる必要があります」
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  豊かに振動を伝える
 

♪弦の振動を共鳴させるのに、ボディは大切でしょうね

「はい。振動が伝達しやすいスプルースという木を使っています。特に大正琴は中を空洞にして共鳴しやすくしてあり、ギターやピアノと同じように、響棒(きょうぼう)が表板の内側に仕込んであります。音に広がりを与えつつ音の締まりも良くしていますね。響穴(ひびきあな)の横にあるクロスした響棒は、弦の張力が掛かる駒(こま)の部分を補強する意味もあります」
  大正琴の響棒
 

♪演奏する時の台も大事ですか?

「台自体も楽器の振動によって共鳴しますから、どんな材質や構造の台に載せるかで音の広がりも変わってきます。大正琴やヴィオリラの底にはゴムの脚が付けてありますが、これは滑ってしまうと演奏できないので滑り止めの役割を果たす他に、台の影響をあまり受けないように、という意味もあるんです」
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    音の実験をしてみました
大正琴の弦の共鳴を見る実験
大正琴の手前の2本は共鳴弦なんだって
演奏中、本当に共鳴してるのかしら?
何か付けて観察してみよう
実験の手順
【1】 アルミ缶を用意し、幅5ミリ長さ1.5センチの短冊状(たんざくじょう)にいくつも切る
【2】 くるくる巻いて第5・6弦に付ける
【3】 第1弦から第4弦をはじき、動きを見る
実験の結果
実験の結果を視聴するためには、最新のフラッシュプレーヤーが必要です。
※ 実験による録音のため正しい音程と異なっております。
♪手前の2本の共鳴弦にふれずに上の4弦をはじいたところ、アルミの輪が細かく動き、共鳴弦が確かに振動していることがわかりました。思っていたよりアルミはよく動きました。
「共鳴弦の効果を耳で感じるかというと、はっきりとは感じられません。でも実際には共鳴弦があることによって4本の弦の波形は変化していて、全体の音をふくよかにしているんですよ」
生熊正広さん写真
 
台の素材を変える実験
楽器を置く台をいろいろ変えてみたいな
いろんな素材で試したいわ
音にどんな影響があるかな
実験の手順
【1】 金属、発泡スチロール、木、段ボールの同サイズの箱を用意する
【2】 ヴィオリラのゴムの脚を外す
【3】 【2】と箱の振動を調べるセンサーを、【1】の箱に載せる
【4】 ピックで弾いて音を聴くと共に、箱の振動をオシロスコープで見る
音を拾うマイクは台の内側に、箱の振動を拾うセンサーは台の上にセット
音を拾うマイクは台の内側に、箱の振動を拾うセンサーは台の上にセット
実験の結果
実験の結果を視聴するためには、最新のフラッシュプレーヤーが必要です。
※ 実験による録音のため正しい音程と異なっております。
♪金属の箱の場合、音がとてもきらびやかに感じました。オシロスコープで見た振動の波は大きく振れていて、よく振動していることがわかりました。木の箱は音の変化は感じられず、箱自体もほとんど振動しません。段ボールの場合、音は木の箱の時と変わらない印象で、箱の振動もわずかでした。発泡スチロールの場合はもっこりとした音に聞こえました。振動の波はぎざぎざしていました。
生熊正広さん写真
「楽器本体が出す音に対して、台に伝わって共鳴する音はわずかですが、それが合算して音になります。さらにコンサートのホールのように演奏する空間自体の共鳴する音も合わさって、耳に届く音ができあがっているんですよ。聴いている音には演奏する環境全てが関わっていて、その要素の1つが台という訳です。
この実験では金属の箱が薄いので一番振動し、高い音も低い音もよく出ていましたね。また、発泡スチロールの箱は響きを伝えにくいため、音のダンピングが起き、音の余韻感も少なくなったようです」
ヴィオリラで和音を奏でる実験
張力を変えると音の高さが変わるのよね
そうだね、ゆるめると音は下がる
うまく調整したら和音ができそうね!
実験の手順
【1】 上からソプラノの弦3本、アルトの弦を1本張る
【2】 4本とも開放弦の時ソの音になるように調整する
【3】 弦巻きを回して弦をゆるめ、2番目の弦をソからレに、3番目の弦をソからシに下げる
【4】 一度に4本の弦を弾いて演奏する
解放弦の時
弦をゆるめて音を下げる
弦をゆるめて音を下げる
実験の結果
和音を奏でて演奏「きよしこの夜」
和音を奏でて演奏
『きよしこの夜』
実験の結果を聴くためには、最新のフラッシュプレーヤーが必要です。
※ 実験による録音のため正しい音程と異なっております。
♪開放弦の時に4本をはじくとソ・シ・レ・ソという和音が鳴るようにしたら、どこの音階ボタンを押しても簡単に和音が弾けるようになりました! 音階ボタンの"5"を押すと開放弦の時より1オクターブ高いソ・シ・レ・ソが、"2"を押すとレ・ファ♯・ラ・レが、"1"を押すとド・ミ・ソ・ドが鳴らせます。黒い音階ボタンを押して弾いても和音が出せました。歌いながら和音が弾けるなんて、まるでギターみたいですよね。演奏をお願いしたのは、ヴィオリラの名付け親の田中正宏(たなか まさひろ)さん。ヴィオリラの楽しさを広める仕事をしているんですって。
「今回はハミングをしながら和音を弾きましたが、メロディを他の人に弾いてもらって伴奏を付けても良いですね。慣れてしまえば10秒か15秒あれば、和音を弾けるように弦を調整できると思いますよ。今のようにソ・シ・レ・ソに合わせると、長調の曲に使えますし、ソ・シ♭(フラット)・レ・ソと合わせれば短調の曲に使えます。ただし、第2弦と第3弦は弦の張りを弱めているので音色に張りがなく、音程も変わりやすいかも知れませんね」
田中正宏さん写真
田中 正宏さん
ヴィオリラの名付け親、楽しいイベントもいろいろ企画
  いろいろ実験をしてみて
工夫次第でもっと演奏が楽しめると感じました。
今回のものしりエピソードでは
弦楽器を弾きこなしたり、改良した話を集めたので
時間を見つけて読んでみてくださいね。
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  ものしりエピソード
    「外国生まれのインド楽器たち ーヴァイオリン、ハルモニウムそしてー」
「胡弓の魅力」
「文化の吹きだまりにひそむ楽器たち」
ヤマハ製品ページ/大正琴
ヤマハ製品ページ/ヴィオリラ
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