ページ内移動リンク


鳴るほど♪楽器解体全書
チェレスタ第1回
チェレスタの歴史と構造
魅惑的な音
魅惑的な音

チェレスタという名前から、形が思い浮かぶ人はきっと少ないでしょう。でも、音を聴くと知っている人も多いはずですよ。設計担当の寺田憲重(てらだのりしげ)さんは小学生の時『くるみ割り人形』を聴いて、どんな楽器か興味を持ったそう。今、チェレスタづくりに関われてとても幸せなんですって。

このページに掲載されている情報は2005年12月現在のものです。

TOPICS
バレエ音楽で世界へ 【1886年パリ生まれ】
チェレスタの構造 【上から下へ大変身!】
第2回へ
第3回へ
掲載楽器一覧へ
  バレエ音楽で世界へ
 
寺田憲重さん写真
寺田 憲重さん
中学時代ラヴェルの『ボレロ』の楽譜を入手し、さらに心酔

♪チェレスタはどんな楽器ですか?

「今から110年ほど前、1886年にフランスはパリのオルガン製作者、オーギュスト・ミュステルが考案した楽器です。鍵盤(けんばん)があり、大きさや形もオルガンのようですが、音は全然違うんですよ。小さなかわいらしい音なのに遠くまでよく通ります。ちょっと聴いてみてください」
モーツァルト『きらきら星変奏曲』
モーツァルト
『きらきら星変奏曲』
▲上記を聴くするためには、最新のフラッシュプレーヤーが必要です。
 

♪わぁ、愛らしい音ですね! なぜこんな音が?

「内側に、鉄琴(てっきん)に似た金属製の音板が音階的に並んでいて、それをハンマーで叩(たた)いて音を出しているんです。チェレスタは鍵盤アクションを持つ打楽器なんですよ。この音に魅了された1人の作曲家が、チェレスタを世界中に広める立役者になります」
 

♪だれでしょう?

チャイコフスキー(1840~1893)です。彼は1891年、アメリカへ演奏旅行に行く前にパリの街を歩いていて、この音を耳にしました。彼自身はすぐアメリカに行かなくてはいけなかったので、急いで母国ロシアにいる楽譜出版者で親友のピョートル・ユルゲンソンに手紙を送り、チェレスタを1200フラン相当で買ってほしいと頼みました。手紙には『だれにもこのチェレスタを見せないでほしい、特にリムスキー=コルサコフやグラズノフに見せてはならない。これは絶対に私が最初に使うから』と書かれていたそうです。
そして1892年に初めて演奏したバレエ音楽『くるみ割り人形』の『こんぺい糖の踊り』で用いました。このバレエが興行的に大成功し、世界各国のバレエ団が演じたがったため、チェレスタも世界中のオーケストラやオペラハウスに買い求められたんです」
ミュステル社
チャイコフスキーが訪れたミュステル社、場所は凱旋門(がいせんもん)の近く。30年ほど前にチェレスタの販売を終了し、今は電器店になっている
 

♪他の楽器では出せない音ですものね

「その後も、モーリス・ラヴェル(1875~1937)やドビュッシー(1862~1918)など印象派の作曲家や、後期ロマン派のリヒャルト・シュトラウスグスタフ・マーラーなどが好んで用いました。現代音楽家もよく使い、楽器として定着したんです。ちなみに、音の魔術師と呼ばれるラヴェルの『ボレロ』で、チェレスタはホルンとピッコロ2本と合わせて演奏されています。神秘的ですごく魅力的なんですよ」
ページTOPへ
  チェレスタの構造
  「こちらが以前つくられていたミュステル社のチェレスタです。何とも言えない、味わい深い音がするんですよ」
 
ミュステル社製チェレスタ ミュステル社製(背面)
ミュステル社製(1960年ごろ)
  「鍵盤の下には金属の音板が二段で入っていて、その上に音板を打つハンマーが並んでいます。音板の下にある四角い物は木の箱で、共鳴箱(きょうめいばこ)といいます」

♪共鳴箱は階段状なんですね
 上下にはどう分かれているんですか?

「このモデルではド・ド♯(シャープ)が上の段、レ・レ♯が下の段というように、半音違いの2音ずつが交互に配置されています」
金属の音板を上からハンマーで叩く
金属の音板を上からハンマーで叩く
 
鍵盤の下には音板が二段
鍵盤の下には音板が二段
 

♪もう1つチェレスタがありますね

「こちらはドイツの老舗メーカー、シードマイヤー製です。先ほどの楽器より音量があり、低音域も増えています。鍵盤を動かして音板に伝える仕組みに、パイプオルガンの構造であるトラッカーとローラーボードを用いているんですよ」
 
シードマイヤー製チェレスタ シードマイヤー製(背面)
シードマイヤー製(1988年ごろ)
 

♪共鳴箱の配置が、先ほどとずいぶん違いますが・・・

「4段組みになっていて、上が低音域、背面から見て右下が中音域、中央と左下は高音域の共鳴箱が並んでいます。ただ、この楽器も音板をハンマーで上から打ち、共鳴箱は下にあります。木琴や鉄琴と同じように、上から打つというのが元々のチェレスタの構造だったんです。ところが、ヤマハではハンマーを下から打つチェレスタを1992年に発表しました!」
 
ヤマハ製チェレスタ ヤマハ製(背面)
ヤマハ製(1992年)
 
上から共鳴箱、音板、アクション、鍵盤
上から共鳴箱、音板、アクション、鍵盤
上から共鳴箱、音板、アクション、鍵盤

♪なぜ上からじゃなく下から?

「グランドピアノのアクションを載せたかったからです。実はこれまでのチェレスタは音の強弱の差が出せませんでした。強く弾かないと音が鳴らず、奏者が気持ちを込めて演奏したくても、音に表情が付けられなかったんです。それで、奏者の意向を最大限、音にできるシステムとしてグランドピアノのアクションを採用しようと思い付きました。グランドピアノでは弦をハンマーで下から打つので、ヤマハのチェレスタも下から音板を打つ機構になったんです。そして共鳴箱は音板の上側に配置しました。中を見てください」

♪中身が大変身しています!

「おかげでpp(ピアニッシモ)からff(フォルテシモ)まで音の強弱が思い通りに出せるようになり、表現力が高まりました。鍵盤のタッチも良くなり、速い楽曲でも弾きこなせるようになりましたね。また、以前グリッサンドは指が痛くてできませんでしたが、このチェレスタなら楽に行えます」
 

♪演奏性がぐんと広がったんですね

「みなさんご存知のあの曲も弾けますよ。ピアノ設計課の堀田哲夫(ほったてつお)さんに少し弾いてもらいましょう」

♪わぁ、ハリー・ポッターですね!
 グリッサンドの音もきれい

チェレスタの演奏
『ヘドウィグの飛行』
グリッサンド
▲上記を聴くするためには、最新のフラッシュプレーヤーが必要です。
 
※各名称にカーソルをのせてみてください
▲【チェレスタの各部の名称】を表示するためには、最新のフラッシュプレーヤーが必要です。
  チェレスタの音域
  チェレスタの音、聞き覚えはありましたか?
鉄琴よりも柔らかく余韻もほどよくあって
澄んだ美しい音ですよね。
次回はハンマーや共鳴箱について紹介します。
どんな工夫がしてあるんでしょう。
第2回へ 第3回へ 掲載楽器一覧へ
ページTOPへ
  ものしりエピソード
    ヤマハ製品ページ/チェレスタ
サクサクFAQ
  おんがくういくりへ

ページの先頭にもどる