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鳴るほど♪楽器解体全書
チェレスタ第2回
チェレスタの音の原理
しなる&響く
しなる&響く

音板をハンマーで打って、その音を共鳴箱で共鳴させるチェレスタ。中を見ると構造はとても複雑です。設計を担当した寺田憲重(てらだのりしげ)さんに、どんな考えでつくってあるのか教えてもらいましょう。

このページに掲載されている情報は2005年12月現在のものです。

TOPICS
グランドピアノとの違い 【広い&しなやか】
音板のルール 【厚み&長さ&体積のこと】
共鳴箱はまるでボトル 【音量や音の高さを左右】
音の実験をしてみました 【共鳴箱をチェンジ】
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  グランドピアノとの違い
 
寺田憲重さん写真
寺田 憲重さん
修理を機に開発を始め、1992年に新発想のチェレスタを発表
「演奏性を高めるためにグランドピアノのアクションを採用した結果、ヤマハのチェレスタはハンマーを下から打つ構造になりました。なるべく元のままのアクションを使えるように工夫して設計していますが、少しだけ違う点もあります。1つは幅、もう1つはハンマーシャンクの形状です」

♪幅というと?

チェレスタのハンマーは音板を打つ
チェレスタのハンマーは音板を打つ
 
黒鍵を押すと動く下側のアクション
黒鍵を押すと動く下側のアクション
「チェレスタの音板の幅は、音の高さによって変わりますが20ミリから30ミリくらい。グランドピアノに張られた3本の弦の幅に比べるとはるかに広いですよね。だからアクションが一列に並べられません。そのため上段が白鍵(はっけん)、下段が黒鍵(こっけん)というように上下二段に分けています。アクションは前後方向ではグランドピアノと全く同じですが、幅方向ではチェレスタ用に、音板の幅に合わせて設計している訳です」

♪だから、ハンマー間に隙間(すきま)があるんですね

  「もう1つ違うのはハンマーシャンクです。グランドピアノでは上下に厚みがあり硬いんですが、チェレスタでは上下は薄く左右は太くて、しなるようになっています。音板打楽器のマリンバ(木琴/もっきん)やビブラフォン(鉄琴/てっきん)のバチの柄が柔らかいのと同じです」
左がピアノ、右がチェレスタのハンマーシャンク。削る方向が90度変えてある
左がピアノ、右がチェレスタのハンマーシャンク。削る方向が90度変えてある
 

♪しなるハンマーの材質は?

「木の部分は樺(かば)で、先端はフェルトです。ハンマーが打つ音板は、高炭素鋼(こうたんそこう)というとても硬い金属で、自動車のサスペンションにも使われている素材です。フェルトの表面は長く打っていると硬くなって音がペタペタしてくるので、時々針を刺したり、ペーパーでめくって適度な弾力を復活させる必要があります」

ピアノの整音と同じですね

 
ハンマーの先は白いフェルト 音板をハンマーで打つ様子
ハンマーの先は白いフェルト
音板をハンマーで打つ様子
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  音板のルール
 
共鳴箱の下には音板がずらり
共鳴箱の下には音板がずらり
「共鳴箱を外すと、音板はこんなふうに並んでいます」

♪鉄琴みたい!

「そうですね。低音から高音に行くほど、音板の長さは短くしてあります。短い方が高い音が鳴るんです。厚みも少しずつ変えてあって、低音では約2ミリ、高音では約2.5ミリにしています」
 

♪音板の厚みと音の高さは、どんな関係?

「音板を同じ大きさのまま厚くすると、音は高くなる性質があります。例えば、ドの音が出る厚さ2ミリの音板をつくって、それを3ミリに変えると、ドではなくミくらいの音に上がります。だから、もし3ミリの厚さでドの音を出したい場合には、音板をもっと長くすることになります。つまり、音板の厚みを増やすためには、長さが必要になるんです」

♪音板の厚みを増やすと何が変わるんでしょう

「より金属的な音色になりますね。ヤマハ製の楽器の場合、チェレスタの音板の厚みは2ミリから2.5ミリくらいですが、マレットで打つグロッケンシュピール(鉄琴)は7.8ミリから9ミリくらいあります。厚い分、音板は長くなっています」
 

♪確かに。あれっ、音板に穴が開いています!

「音板を固定するために、振動の節(ふし)に穴を開け、枕(まくら)フェルトの上に音板を載せて、ネジで留めています。節を固定しすぎると音の響きを止めてしまうので、響きを止めずに音板が外れないよう工夫しています。節は2ヵ所あり、位置は音板全体の長さの22.4%の位置と決まっているんですよ」
音板の下のフェルト、上にもフェルトがある
音板の下のフェルト、上にもフェルトがある
 
右側が低音部の音板、両端に重り付き
右側が低音部の音板、両端に重り付き
「また、低音部の音板には両側に重りが付いています。これは節から端までの体積を同じにして、音の高さを変えずに音板の長さを短くするため。低音に行くほど音板はどんどん長くなり、そのままでは楽器の奥行きが多く要りますからね」

♪なるほど、重りも厚みも楽器のサイズに関わってるんですね

  低音部の音板とおもりの関係
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  共鳴箱はまるでボトル
 

♪共鳴箱はないとダメですか?

「音板を打っただけの音だと音量が小さくて音が響かないんです。アクションモデルで試してみると、共鳴箱の効果がよくわかりますよ。音を聴き比べてみてください」

♪箱って音量に影響してるんですね
 でも、なぜ大きさがまちまちなんでしょう

「共鳴箱は、高音から低音になるほど容積を大きくしています。共鳴させたい音板の音の高さに合わせて大きさや形も変えないと、共鳴が少なくなったり、全く共鳴しなくなってしまうんです」
共鳴箱がある場合 (通常) 共鳴箱がない場合
共鳴箱がある場合
(通常)
共鳴箱がない場合
 
▲上記を聴くするためには、最新のフラッシュプレーヤーが必要です。

 

 

♪その音板に合った箱じゃないと共鳴しない!

「はい。共鳴する音の高さは箱ごとに決まっています。口から息を吹き込むと、その箱に固有の音が鳴るんですよ」

♪口があるんですか?

「単純な四角い箱のように見えますが、下側には首があって口があり、内側に途中まで楕円(だえん)の穴が開いています。まるで洋酒のボトルを逆さにしたような形です。楕円の穴の部分、つまり首の部分が細くて長いと、低い音が出るんですよ。また、口の断面積が小さくなると音程は下がる性質があるので、共鳴させたい音と合うように、箱の容積と口の断面積を調整しています」

♪共鳴箱は大事なんですね

 
音板側に口の付いた共鳴箱 音板側に口の付いた共鳴箱(図)
音板側に口の付いた共鳴箱
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    音の実験をしてみました
共鳴箱はボトルのような形をしていましたね。そこで、共鳴箱を身近にあるボトル状の容器に替えてみたらどうなるか試すことにしました。音板の音をうまく共鳴できるでしょうか。
同容積・形違いの容器の実験
720ミリリットルの容器を集めたわ
首の長さや形はいろいろだね
同じ音板で共鳴するかしら?
実験の手順
【1】 容量が720ミリリットルの容器を集める
【2】 アクションモデルを用意する
【3】 【2】から共鳴箱を外し、代わりに容器をセットする
【4】 音板をハンマーで打ち、音を聴く
【5】 別の容器をセットして同様に音を聴いていく
アクションモデルに、共鳴箱
アクションモデルに、共鳴箱の代わりに別の容器をセット
実験の結果
肩がある瓶(びん)
肩がある瓶(びん)
首が長い瓶
首が長い瓶
凸凹した陶器
凸凹した陶器
実験の結果を聴くためには、最新のフラッシュプレーヤーが必要です。
※ 実験による録音のため正しい音程と異なっております。
♪アクションモデルには「レ」の音の音板をセットしました。最初の、肩がある瓶では、音板をハンマーで叩(たた)いた時に起きた音がボーンと大きくなって聴こえました。でも、首が長い瓶と凸凹した陶器では、長く響くのは音板の音だけで共鳴はしませんでした。
「同じ容積でも、形や素材の違いで共鳴する場合としない場合があることがわかりましたね。この3つの中では肩がある瓶の固有振動数が、レの音板の振動数と近かったので、うまく共鳴しました。実は今の実験で共鳴しなかった容器も、合う音板に替えればちゃんと共鳴するんですよ」
寺田憲重さん写真
 
陶器と木の共鳴実験
凸凹した陶器に合う音板を探そう
どうやって?
陶器を吹いて鳴らした音が鍵(かぎ)なんだって!
実験の手順
【1】 陶器の首部分に息を当て、音を聴く
【2】 その高さの音板を用意し、アクションモデルにセットする
【3】 音板をハンマーで打ち、音を聴く
【4】 木製の共鳴箱の場合と聴き比べる
実験の結果
凸凹した陶器
凸凹した陶器
木製の共鳴箱(通常)
木製の共鳴箱(通常)
実験の結果を聴くためには、最新のフラッシュプレーヤーが必要です。
※ 実験による録音のため正しい音程と異なっております。
♪陶器の口の部分に角度を変えながら息を当てて音を出し、チェレスタで同じ高さの音を探してみたら「ミ」の音でした。そこで、アクションモデルに「ミ」の音板をセットし、その上に陶器を固定してハンマーで音板を打ってみると、前の実験では全く共鳴しなかった陶器が、ぼーんぼーんと音を共鳴させてくれました! かなりボリュームが大きくてびっくり。通常の木製の共鳴箱と比べると音色は硬い印象でしたが、合う音板だと本当に良く鳴ります!
寺田憲重さん写真
「いい音が鳴りましたね。この陶器はたまたま、ミの音の固有振動数を持っていたので、ミの音板の振動を増幅したんです。ちなみに、音板と口の距離も共鳴を左右していて、ちょっと隙間を変えるだけで共鳴具合はずいぶん変化するんですよ。
陶器の場合と木の場合で、音色に違いがあるのも興味深いですね」
金属と木の共鳴実験
金属の缶でも共鳴しそうね
一体どんな音色になるんだろう
試してみましょう!
実験の手順
【1】 金属缶の首部分に息を当て、音を聴く
【2】 その高さの音板を用意し、アクションモデルにセットする
【3】 音板をハンマーで打ち、音を聴く
【4】 木製の共鳴箱の場合と聴き比べる
実験の結果
290ミリリットルの金属缶
290ミリリットルの金属缶
木製の共鳴箱(通常)
木製の共鳴箱(通常)
00ミリリットルの金属缶
400ミリリットルの金属缶
木製の共鳴箱(通常)
木製の共鳴箱(通常)
実験の結果を聴くためには、最新のフラッシュプレーヤーが必要です。
※ 実験による録音のため正しい音程と異なっております。
♪口で吹いてみると、290ミリリットルの金属缶は「レ」の音が鳴りました。凸凹した陶器よりも1オクターブ程高い「レ」です。そして400ミリリットルの金属缶は「ド」の音が鳴りました。それぞれの音の高さの音板をセットして、通常の木製の共鳴箱の場合と音色を聴き比べてみると・・・。金属缶は単純でストレートな潔い音に、木は余韻が長くてふくよかな音に感じました。
「2個の金属缶は、偶然、ドとレの一音違いでしたね。予想より良い音で驚きました。木製の共鳴箱の音とは、また別の魅力があります」
寺田憲重さん写真
  共鳴させる実験はいかがでしたか。
大小様々な形の金属缶を集めてきて
鉄琴の上に並べてセットしたら、
音が共鳴してもっと大きな音になりそうです。
何かに固定させなくても手持ちで大丈夫ですよ!
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