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ホーム > ヤマハで習う・学ぶ > 鳴るほど♪楽器解体全書 : チェレスタの雑学

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■チェレスタは水の音?光の音?チェレスタの音色を聴いて、どんな光景を思い浮かべますか。多くの作曲家がイメージしてきたのは、自然界の水や光の音かもしれません。モーリス・ラヴェル(1875~1937)は『海原の小舟』というピアノ曲をオーケストラ向けにアレンジした際、水面のきらめきを表すのにチェレスタを使いましたし、レスピーギ(1879~1936)はローマ三部作の一つ、『ローマの噴水』で水面の輝きを表現しています。また、リヒャルト・シュトラウス(1864~1949)は『アルプス交響曲』で滝の描写に用いるなど、不思議と水や光を連想させるところにチェレスタは多く登場してるんですよ。■映画音楽に何度も登場チェレスタの柔らかく澄んだ響きはクラシック音楽はもちろん、映画音楽にもよく登場していて、ジョン・ウィリアムズは『スター・ウォーズ』や『ハリー・ポッター』のシリーズ、『未知との遭遇』『E.T.』などで印象的に使っています。とりわけ『ホーム・アローン』では全編に渡って登場。きらきらしたクリスマスの気分を盛り上げています。ちなみにクリスマスソングにチェレスタが多く用いられるのは、最初にこの楽器を世に広めたチャイコフスキーの『くるみ割り人形』が聖夜を舞台にしていたからのようです。■後ろの方がよく聴こえる遠くまで音が通るのがチェレスタの特徴。コンサートホールでは一番前の席よりも一番後ろの席で聴いた方が、ホールの音響とあいまって圧倒的によく聴こえます。かわいらしい音なのに存在感があるんですね。■チェレスタ奏者はいない?!オーケストラの曲にいつも登場する訳ではないチェレスタ。だからチェレスタだけを専門で弾く人はいないようです。ピアニストが担当したり、指揮の勉強をしている指揮者研修生が弾いたり、はたまたパーカッショニストが受け持つことも。鍵盤で演奏する打楽器、というユニークな楽器だからでしょう。■5オクターブあれば十分?!世の中にある、チェレスタの曲を150曲ほど集めて、その音域を調べたらおもしろいことがわかりました。まず、4オクターブあれば8割の曲は弾けます。1886年にミュステルが発明した時にすでに4オクターブの音域があったんですが、それが大半を占めるんです。でも、20世紀に作曲されたホルストの『惑星』やレスピーギの『ローマの松』、ストラヴィンスキーの『ペトルーシュカ』を弾くには、さらに広い5オクターブの音域が必要です。これでほとんどの曲は弾けます。とは言え、有名なクラシックで2曲だけ、もっと低音域がほしい曲があるんです。グスタフ・マーラーの『交響曲第6番』と、レナード・バーンスタインの『交響曲第2番』。それに現代曲のことも考えて、ヤマハでは最大5 1/2オクターブのチェレスタも用意しています。1/2オクターブは5音。この5音の低い音を出すために大きな共鳴箱を組み込み、アクションも複雑になってるんですよ。 |
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■グロッケンシュピールの変遷(へんせん)現在、グロッケンシュピール(Glockenspiel)というと鉄琴を指します。調律した金属の音板が並べてあり、バチで叩(たた)く打楽器です。でも実は、これは過去に鍵盤で弾くグロッケンシュピールが存在していて、その音板部分だけが残ったもの。しかも、鍵盤型グロッケンシュピールはチェレスタよりも前に登場していたんですよ。元々グロッケンとは鐘のこと。ヨーロッパに行くと教会に大きな鐘がありますが、その鐘の小型版をいろんな種類の音程にして3オクターブほど用意し、高い位置に並べて紐(ひも)を垂らして鍵盤で演奏していました。17世紀ごろのことです。今のようにまともな鍵盤ではなく大きなボタンのような状態で、手をグーにして押したりしていましたが、イメージ的には鍵盤で弾くグロッケンシュピールですよね。そこから改良されて、鍵盤が小さく移動もできる鍵盤型グロッケンシュピールがつくられていたんです。 |
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■『魔笛』とグロッケンシュピールモーツァルトの『魔笛』というオペラは、魔法の笛を持つ主人公が、魔法の鐘を持つ従者と共にお姫様を助けに行き、困難を乗り越えて結ばれるというストーリー。劇中、魔法の鐘の音として3ヵ所、鍵盤型のグロッケンシュピールが弾かれます。当時の楽器とされるものがウィーンの博物館に保管されていますが、発音体は金属ではなくガラスで、サイズはおもちゃのピアノくらい。音域は3オクターブあります。でも、初演の時には金属の丸棒を長さ違いで何本も並べて演奏した、という説もあり、はっきりしていません。 |
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実は、モーツァルトの『魔笛』は興行的に大成功したので、どこの歌劇場も上演したくて鍵盤タイプのグロッケンを欲しがりました。でもどんな楽器かわからないので各地の楽器製作者がいろいろつくって現在に遺っているんです。だから楽器の実態がつかめないんですって。 | |||||
■『魔笛』とチェレスタチェレスタが生まれたのは1886年。モーツァルトが亡くなったのは1791年。だから彼はチェレスタのことを知りません。でも、彼の『魔笛』を演奏する時にチェレスタが使われることもあるんです。それはなぜかと言うと・・・。鍵盤型のグロッケンシュピールが一時廃れてしまって、世の中になかったため。それで金属のハンマーではなくフェルトのハンマーなので音は柔らかいですが、同じように鍵盤式で金属の音板を打つチェレスタが演奏に使われてきました。カラヤンやベームが指揮をしている録音を聴くとチェレスタの音がします。 近年のコンサートではモーツァルトが作曲した時の意図に合わせて、グロッケンシュピールで演奏されることが多くなってきました。魔法を想わせるきらびやかな音が印象的に使われているんですよ。 |
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■奈良の鹿(しか)がヨーロッパで活躍オーストリアのウィーン・フィルハーモニー管弦楽団へ1993年にチェレスタを納品した後、グロッケン版もつくれないかという依頼がありました。そこで、音板の厚みをチェレスタよりも厚くし、表面を鍍金して改良。ハンマーにもいろいろ工夫をしました。ハンマーの先は始めは真鍮(しんちゅう)、後で樹脂に変えましたが今ひとつ。「マレットの先は昔、象牙(ぞうげ)だった」という話を聞き、象牙も試して好感触を得ましたが、象牙はワシントン条約により海外へ送れません。そこで思い浮かんだのが、ちゃんちき。日本のお祭りで叩く伝統的な打楽器で、このバチの先が鹿の角だったんです。早速、奈良公園に電話して鹿の角を入手し、楽器に取り付けてみたら大好評。音に芯(しん)があって響きもあり、象牙に勝るとも劣らない音になりました。また、それまでの鍵盤型グロッケンシュピールは音量のコントロールができませんでしたが、グランドピアノのアクションを採用したこのモデルはpp(ピアニッシモ)からff(フォルテシモ)まで自由自在。演奏者にも指揮者にも大満足していただけました。 |
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| 2005年8月、ザルツブルグ音楽祭。リッカルド・ムーティ指揮の『魔笛』のプロダクションで奈良の鹿の角が打つグロッケンシュピールの音が会場に響き渡りました。日本とヨーロッパの伝統文化が合わさって観客を魅了したんです。 | ||||||||
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| ヤマハのチェレスタもグロッケンシュピールも、グランドピアノと同じアクションのお陰で、ピアノを練習している人なら普通に弾けます。でもチェレスタの持つ音色の雰囲気を上手く表現する為に、ペダルの使い方を工夫してみましょう。 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団で弾かれているのと同じグロッケンシュピールで弾いた、クラシックの名曲、モーツァルトの『魔笛』のワンフレーズをお聴きかせしましょう。 魔法をかける時のイメージにぴったりの、きらびやかな音色ですよ。 |
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| 改めてクラシックの曲を聴いてみると 思った以上にチェレスタが登場しています。 独特のキラキラした音が それぞれ個性的な楽器たちと協力し合って 美しいハーモニーが生まれているんだなと感じました! |
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| 作曲家、モーツァルト誕生(1756~1791) カリヨン(鐘)は建物の守り神 ヤマハ製品ページ/チェレスタ |
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